燃えるということ


燃える

燃えること

 人は火を使うようになってから暖を取り、料理し、暗い闇を照らし、道具を作るために使ってきました。しかしラボアゼが燃えることは酸化で酸素と反応することであることを確定するまで,フロジストン説などが提出され、多くの時間を必要としました。

燃えるには3要素( ①燃えるもの、②酸素、③温度)が必要であるので以下の3つの実験で確かめることができます。

① 燃えるものなし の実験
② 酸素を断った実験(無酸素実験、窒素やCO2等との置換実験、酸素下での実験との比較)
③ 発火温度より下げた条件での実験

炎色反応

特にきれいなのは花火として知られているで金属が燃えることによる炎色反応があります。金属塩(主にアルカリ金属や アルカリ土類金属)を炎の中に入れて強く熱すると,図1に示したように気化して生じた金属原子中の電子が高いエネルギー状態[Em]に励起されます。

図1 原子の軌道とエネルギー遷移

この励起状態は不安定なので,励起された電子はしばらくしてもとの基底状態[E0]に戻ります。 この電子が低いエネルギー状態に移るときに,二つの状態の差に相当するエネルギーを光として放出します。 この光の波長が可視領域(400nm-700nm)にあるとき,表1に示したような金属固有の色の炎が見えることになります。


図2 金属の炎色反応 1)

1 金属と炎色

元素名

炎 色

元素名

炎 色

リチウム

深赤(紅)

カルシウム

黄赤(橙赤)

ナトリウム

黄色

ストロンチウム

カリウム

淡紫

バリウム

淡黄緑

ルビジウム

深紅(赤)

濃緑(青緑)

セシウム

青紫

インジウム

深青


黒い炎


図3 黒いほのお

また炎色反応中のナトリウムに低圧ナトリウムランプのD線(589.59 nmおよび589.00 nm)を当てると図3のような黒い炎が見えます。これは燃えている炎色反応の炎の中にはナトリウム原子が存在します。このナトリウム原子がナトリウムのD線の光を吸収するため、光が通らなくその部分が黒く見えています。
この原理は微量の金属の定量測定に使われています。(原子吸光分析)




1) 木村,新居, "演示実験や体験実験のための炎色反応", 近畿大学理工学総合研究所紀要, 30 ,31-36(2018).

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Final update 2021.4.2

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